今日は岐阜の病院より心臓の検査依頼がありました。主治医の先生自ら、検査するワンちゃんをつれて来られました。何とかしたいという気持ちが、すごく伝わってきます。良い獣医師とはこういう先生のことを言うのでしょうね。ワンちゃんは重篤な肺高血圧症でした。すごく優しいワンちゃんで、早く元気になってほしいものです。肺高血圧症は心臓から肺に血液を送る血管の内腔が狭くなり、肺血管の血圧が高くなる病気です。肺に血液を送る心臓の部位を右心室といいます。この右心室は肺血管の高い血圧に耐えるようにはできていません。そのため肺血管の血圧の高い状態が続くと、右心室の機能は低下しはじめます。腹水や胸水、重篤な呼吸不全などが認められます。医学でも治療が難しい病気で、獣医療では診断時にはかなり重度な状態であるため治療が難しいです。近年の獣医循環器学会では、肺高血圧症の発表・講演が多くなりました。近い将来、より良い治療方針ができることでしょう。